Witch Girl 12

Witch Girl 12レビュー

野村ケンジ
text by オーディオライター 野村ケンジ


 「Witch Girl 12」は、「Witch Girl」シリーズ第3作目にして、5BAドライバー搭載の「Witch Girl S」やハイブリッドドライバー構成の「Witch Girl Pro」の上位にポジションされるハイエンドモデルだ。低域に4、中域に4、高域に2、超高域に2という、12基のBAドライバーを搭載している。

 そもそもBAドライバーは、きめ細やかな音色が再現できるメリットがある反面、得意とする帯域幅が狭いというデメリットがある。それを解決するために、高級モデルでは複数のドライバーを搭載するが、今度はBA同士の音が余分に重なり合ってしまい、ピークが発生したり雑然とした音色になってしまったりする。それらを回避し、上質なサウンドに纏め上げるには、かなりのノウハウやスキルが必要となってくる。「Witch Girl 12」では、はそういった難しさをクリアして巧みに纏め上げている。ポイントとなっているのはKnowlesの最新ドライバーで、こちらを高域に2つ、超高域に2つ配置することで、16kHz以上までスムーズなサウンドを作り出すことに成功しているという。
 一方で、コンパクトに纏まったシェルサイズも「Witch Girl 12」ならではのアドバンテージだ。ダイナミック型に比べればかなり小型のBAドライバーだが、それでも数多く搭載すればシェルサイズは大きくなってしまう。既存の12BA搭載モデルなどは、シェルが大型化しすぎて装着感が悪かったり、重さで耳からポロリとこぼれ落ちてしまうときがある。対して「Witch Girl 12」は、オールハンドメイドによる筐体製作により小型化に成功。「Witch Girl S」に対して、ドライバー数は倍以上に増えているのにもかかわらず、筐体サイズはほんのわずか大きくなっただけ。実際に装着してみると分かるが、フィット感が高く、試聴時に耳からポロリとこぼれ落ちてしまうようなことがない。また、ハンドメイドによって丁寧に作り上げられている恩恵だろう、シェルとフェイスプレートのつなぎ目に一切の切れ目がなかったりと、見かけも上質だ。こういった、イヤーモニターらしからぬ!?質感の高さも好印象を持つポイントとなっている。
 ちなみに、2pinコネクタ採用の着脱式ケーブルは、銀銅合金製素材をチョイス。また、日本限定のオプションとして、「Witch Girl 12」専用のチューニングが施されたWAGNUS製2.5mm4極端子ケーブルも用意されている。なお、イヤーチップに関しては、シリコン、ウレタンに加えて、SpinFitという3タイプ+3サイズ(S/M/L)が付属する。

 さて、ここからは音質レビューをお届けしよう。まずは標準ケーブルのまま、プレーヤーはLotoo「PAW Gold」を使用した。
 完璧、という言葉を使いたくなるほどに饒舌な音色と、とても見通しの良い音場を巧みに両立させた、完成度の高いサウンド。とにかく表情が豊かで、音色が多彩。女性ヴォーカルはファニーにもハスキーにもならず、ニュートラルな表現のまま、まるでマイク前に立っている姿が見えてくるかのような、生々しい歌声に聴こえる。さらに特筆なのが、アコースティック楽器の音色だ。ヴァイオリンを聴くと、いままで単純に“ヴァイオリンの音”と感じていたものが、弦の響き、ボディの鳴り、ホールの反響が合わさることで生み出されていたことがハッキリと分かるようになる。また、ボーイングの強弱も今までにないくらいハッキリと感じられるようになるため、人が演奏している様子、その感情の込め方まで如実に伝わってくる。同じ演奏であっても、これまでとは格別の感動をもたらしてくれるのだ。続いて、ピアノの音をチェック。こちらもハンマーが弦を叩く音、それがピアノに反響し、ホールに広がっていくさまがまじまじと感じられるようになるのだが、それと同時に、ピアノ自身のコンディションの良さ、ホールの響きの美しさまで感じ取れるようになる。まるで、貴重な演奏を独り占めしているかのようだ。とはいっても、決して美音方向にまとめられた音色ではなく、そのままを素直に再生しているイメージ。素晴らしい演奏は、素晴らしい音でもあるのだと改めて実感できる製品だ。
 さて、ここからはケーブルをオプションのWAGNUS製に替えて、プレーヤーも2.5mm4極端子を持つアステル&ケルン「AK380Copper」+「AK380 AMP Copper」で試聴した。
 基本的な傾向、とてもニュートラルで素直、そして饒舌な音表現は変わらないものの、さらに丁寧な階調表現と、さらに自然な音色の音色傾向を持つサウンドへと変化した。よりオールジャンルOKなサウンドになったといえるが、なかでもJポップとの相性が抜群で、女性ヴォーカルが艶やかな、しっとりとした歌声を聴かせてくれるようになった。なかなかに、素晴らしい相性のケーブルだ。付属ケーブルからこちらに交換するだけの価値は充分にある。

 最後に、同じAROMAの新製品「Nebula10」も組み合わせてみた。さすが純正組み合わせ、完璧といっていいバランスのサウンド。WAGNUSケーブルに替えてステップアップしたファクターをもう一段グレードアップいたイメージで、BAドライバーらしい丁寧できめ細やかな音色がさらに際立ち、とても心地よい響きに感じられるようになった。1つ1つの楽器にフォーカスして聴くと元々の音色そのまま、とてもリアルな音色と表現なのは変わらないのだが、さらに心地よい音に変化しているのだ。これはいい。また、標準3.5mmの音色もWAGNUSケーブルのイメージに近い、落ち着きのある音色にシフトしてくれていて、好感が持てる。

 このように「Witch Girl 12」は、単なる良い音を越えて、格別の感動をもたらしてくれる表現力を持つ。単体で楽しんでも十分に魅力的だが、できればWAGNUSケーブルと組み合わせたいところ。さらに余裕があれば、「Nebula10」も使ってみて欲しい。そんな、何処までもいい音も求めたくなる“魔性”さえ感じる、とても魅力的な製品だ。

Witch Girl 12の仕様
ドライバーユニット構成 超高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
中域:4バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:4バランスドアマチュア型ドライバーユニット
感度 122dB/mW
インピーダンス 48Ω
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル 銅銀合金 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
市場想定価格 269,000円(税別)
JAN:4589631463584
付属品
※変更する場合がございます
・ハードケース
・収納袋
・シリコンイヤーチップ S/M/L
・ウレタンイヤーチップ S/M/L
・SpinFitイヤーチップ S/M/L
オプション WAGNUS.謹製 野村ケンジ監修
特製2.5mm4極バランスケーブル
Thunderer Wand “Shanti”


バンドルセット Witch Girl 12 with Shanti
市場想定価格:349,000円(税別)
JAN:4589631462129

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